2021年08月03日

日経産業新聞記事掲載 技術磨き成長分野で展開 精密部品や超小型ポンプ

 

2021年8月3日の日経産業新聞 ミドル企業きらりに掲載されました。

是非ご覧ください。

 

射出成型
技術磨き成長分野で展開、精密部品や超小型ポンプ(ミドル企業きらり)

多田プラスチック工業(大阪府藤井寺市)は70年にわたり
培ったプラスチックの成型技術が強みだ。
自動車や医療機器の精密部品や
超小型ポンプなどの新規事業を開拓する。
新たな成長へM&A(合併・買収)も駆使し、
医療や環境分野にも力を入れる。

1919年に印鑑や万年筆に使うゴムの加工業として
創業した多田プラスチック工業は、
戦後に当時最先端のプラスチックの射出成型技術をいち早く導入した。
シャープなどへの家電部品の販売を通じて、
射出成型の精度や生産技術を高めた。
その結果培われたのが、誤差が
0.1マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル以下の
「世界でも例がない」(前田政利社長)精密成形技術だ。

95年までに、事業の第2、第3の柱になる
硬質ポリウレタンの発泡成形や、金属部品の一部を
プラスチックに置き換えた小型ポンプの製造にも参入した。
だが2010年代には中国や韓国の家電メーカーが
世界市場でシェアを伸ばし、日本勢は苦境に。
多田プラスチックも家電向けの売り上げが落ち込んだ。
そこで「本業の内容を変える」(前田社長)を合言葉に、
技術が生きる新市場の開拓を進めている。
まずプラスチックの射出成型技術を生かし、
成長分野の医療や自動車市場へ切り込む。
優れた精密成形技術を使い、7月から部品の量産を始める。
金属部品よりも加工精度が高く、小型化や軽量化に貢献できる。

自然に分解される「生分解性プラスチック」も、
使い捨ての包装向けで年内に量産化する。
「生分解プラは溶かした材料が金型の内部全体に
流れにくく、すぐに固まってしまう。そのために成形が難しい。
時間当たりの生産量を増やすなど、生産技術も
磨く必要がある」と前田社長は話す。

硬質ウレタン発泡成形事業でも、家電から医療、
食品向けへの転換を急ぐ。優れた断熱性を生かし、
ワクチンや宅配の食品を運ぶ保冷ボックスを販売していく。
小型ポンプは電気ポットや飲料ディスペンサー、
炊飯器やトイレ向けに販売してきた。
現在は安全性向上などの要求から自動車への
搭載台数が増えるカメラのレンズを洗う用途向けに、
膜の動きで液体や気体を運ぶ
小型のダイヤフラムポンプの開発を進めている。

ポンプの小型化も一層進める。19年に世界最小クラスの
ダイヤフラムポンプを開発した。直径1.5センチ、
長さ4.4センチで、ガス検知器向けに納入済みだ。
市場が大きい美容などの分野を開拓する。

M&Aも活発に進めた。
16年にポンプの心臓部などのゴム部品を作る
ダブレス(東京・足立)を、19年に医療機器を
製造販売するブルークロス(埼玉県川越市)を、
20年には製品のデザインなどを行う
南デザイン(東京都青梅市)を、
それぞれ完全子会社化した。
「川上の設計から川下の製造までの流れができた」
と前田社長は話す。

精密部品や小型ポンプの製造向けに、19年以降に
本社工場を改造した。ホコリが少なく温度や
湿度が一定の作業スペースを設置した。
スピードを武器に、市場の変化へ対応する。

 

南デザインのご紹介 試作から量産まで

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