TADAPLA NEWS
日刊工業新聞記事掲載
生分解性ポリマー製品の量産技術開発 金型への充填時間短縮
一部記事抜粋・一部訂正
多田プラスチック工業(大阪府藤井寺市、前田政利社長)は、カネカが開発したカネカ生分解性バイオポリマー Green Planet®︎を活用した製品の量産技術を開発した。本社敷地内の工場に同ポリマーの成形技術と全自動化の生産ラインを構築し、2022年4月までに4ライン設置する。カネカ生分解性バイオポリマー Green Planet®︎は海水中で生分解される素材として注目を集めるが、その成形技術はまだ十分に確立されておらず、今回の量産技術で生分解性ポリマーの普及につなげる。多田プラスチック工業は今回の生産設備を1ライン導入した。成形技術は従来の射出成形と異なる独自技術を考案。同ポリマーを金型へ充填する時間を短縮し、量産を実現。生産ラインでは成形から製品の梱包までを全自動化した。今後の追加設置を含めた投資額は数億円を見込む。
本社敷地内にある新工場に、生分解性ポリマー製品の量産設備を設置する
センシング技術を用い、成形機内外の温度や圧力、充填スピードなどの数値を遠隔管理できる。数値に異常があれば担当者へ通知され、迅速対応できる体制を整えた。成形された製品はアーム型のロボットが次工程へ運ぶ。検査工程では1ラインに2100万画素数のカメラを4台導入し、目視では難しいキズなどを確認、不良品を的確にはじき出せる画像判断システムを採用した。生産現場は定点カメラが設置され、モニターで稼働状況を常時確認する。人が介するのは梱包後の製品を運び出す作業や定期的な設備メンテナンスのみで、24時間のフル稼働生産を可能とする。同社はプラスチックの射出成形を得意とする創業100年超の老舗企業。「(当社の技術で)同ポリマー製品の量産化と品質の担保をスピード実現した」(前田社長)としている。
(2021年12月20日 日刊工業新聞)