TADAPLA NEWS
新価値創造展事務局(2021年度) 出展成功事例に掲載されました。
是非ご覧ください。
アイデア・引き合いを求めて出展
1919年の創業当時は印鑑の母材製造をしていたという多田プラスチック工業株式会社は、戦後、同名に社名変更し、他社に先駆けて射出成形をはじめた業界の老舗だ。現在は射出成形、硬質ウレタン成形、小型DCポンプの開発製造などをビジネスベースとして事業展開している。射出成型はミクロン単位の成形(参考精度:0.005mm)が可能な精密成形が大きな特徴で、多田プラスチックにおける多くの製品の根幹をなす技術になっている。硬質ウレタン成形は断熱・軽量化・一体成型が特徴で、断熱性の向上、一体成型による工数削減などで引き合いが増加している。小型DCポンプについては、クリーンルームを所有していることから開発・設計から対応できるという。これらの技術・製品の活用分野は、家電・OA機器・飲料ディスペンサー・自動車部品など多岐に渡っている。中でも、車載カメラのレンズ洗浄用小型DCポンプは大いに注目されている製品だ。ほかにも、2021年には海水中で生分解される新素材・生分解性ポリマーを使用した製品の量産技術を開発。こうした開発・製造をけん引する同社取締役 前田匡史氏に話を聞いた。
●2020年のオンライン展示会にはどのような経緯で出展しましたか弊社は、長らく家電を扱ってきたなかでさらに活用分野を広めるために試行錯誤を繰り返してきました。たとえばDCポンプの開発はかれこれ25年ほどやってきました。最初は失敗の連続で、しかもどこからも相手にされなかったのですが、現在は車載レンズのクリーナーなどにも採用されるようになりました。 「新価値創造展」には、新しく商品開発した製品・技術に、どのようなニーズがあるのか探索を含め、従来の固定概念に縛られないアイデア・引き合いを求めて出展しました。
●オンライン展に出展して良かった点・メリットはどのような点でしょうかどのようなお客様が、どの分野・技術製品に興味があるのか、理解を深めることができました。
●展示会の工夫やそれによる手応えはいかがでしたか「新価値」ということもありまして、専門の方以外にも“新規”の方もいらっしゃるだろうと。そこで製品そのものを前面に紹介するよりも、たとえば「環境」であるとか、ポンプだったら「自動運転」で役立つとか、そういう部分を工夫しました。ユーザーの方々は弊社製品を使って車載カメラとか配送ボックスとか、それぞれ自社の製品をつくりたいわけですから、何に役立つのかがわかるような工夫をしました。 また、オンライン展示会の来場者の中でビジネスマッチングができる可能性のある来場者と継続的に情報交換を行っていました。その後、お客様からメールにて具体的に問い合わせを頂き、商談から成約につながりました。タイミングが重要だと考えています。取引につながる可能性があるお客様とは、継続して接点を持つことが重要だと思います。
●他の展示会と比較して、新価値創造展の反応はいかがでしょうか他の展示会と比較した場合、来場者の各業界に対する知見が深い印象がありました。また、物流・車載・環境の新しい技術や製品を求めているお客様が多い傾向がありました。例えば、弊社では、カスタマイズに優れた保冷ボックスの内容を説明すると興味を持つなど、具体的なニーズをもって探してる来場者が多い印象がありました。
●2021年開催のリアル展示会はいかがでしたかオンライン展示会では飲料ディスペンサーやウォーターサーバーなどの引き合いが多かったのですが、リアル展示会後の引き合いは、硬質ウレタンが想定より多かったです。食品輸送に加えて、医療系の輸送の問い合わせを多くいただいています。他には釣り業界からの問い合わせもありましたね。まったく想定外でしたが、そういう我々が気付かないニーズがあることがわかる。その点が、「新価値創造展」とほかの展示会の大きな違いだと思います。 リアル展示会では、製品を実際に手で触れることによって印象に残る工夫をしてみました。小型DCポンプではただポンプを展示するのではなく、来場者が実際にボタンを押すことでレンズの汚れを除去できる装置を展示しまして、「とてもわかりやすい」との意見もいただけました。ほかにも、ウレタン成形を使った配送ボックスでは、食品の鮮度保持だけではなく、医療現場でのワクチン・検体輸送などもイメージできるパネル展示を用意することで、それぞれが抱えている課題に役立つ、そのようなイメージが伝わることを心掛けました。製品そのものやその生産技術ではなく、どういう分野で役立つか。そのアピールを重要視しました。
●今後の展望をお聞かせくださいひとつはウレタンの接着です。まだ量産化はできないのですが、ニーズは非常に高いです。それと関連しますが、硬質ウレタン成形の技術があるので軽量ボードを開発して少しずつ増やしていこうと考えています。それから、「環境」に関わる企業とは共同で開発・製造していきたいと思っています。前述の生分解性ポリマーにはどんどん挑戦していきたいです。